小桶豆腐

  豆腐の起源は、中国、前漢時代、淮南王(わいなんおう)・劉安(りゅうあん)が発明されたといわれている。

 しかし、豆腐の発祥の地である中国で生活を始めて1年が過ぎても、美味しい豆腐に出会えなかった。帰国した際に手作りの豆腐が作れる「とうふ太郎」をネット購入した。荷物は2日後に届き、中を開けると、木枠、ざる豆腐用のざる、豆乳の漉し布、豆腐の作り方の解説等がセットになっていた。翌日、苦汁の調達に近くのスーパーに行くと200mlが600円もしたので、これもネット購入をと考えて購入を止めた。テレビ番組で苦汁が健康に良いと紹介されてから、品切れが続き、値段が数倍にまで跳ね上がったそうだ。(最近になって、苦汁は健康とは何の関係もないと発表された。)

 帰りに食事に寄ったお店に手作り豆腐の湯豆腐定食があったので、注文した。ついでに店主に豆腐の作り方の勘所などを聞いた。苦汁が高過ぎると話すと、お店で使っている苦汁を無料でくれた。中国に戻り、温度計も入手し準備万端、あとは豆乳があれば手作り豆腐が出来る。まず最初は、市場の豆腐屋で豆乳を買ったが、砂糖が入っているし、飲料用なので濃度が薄い。そこで、豆乳製造機を買うことにして電気屋に行くが、499元もしたので止めた。時間がある時に、すり鉢で磨って作ろうと考えていた。
  そんなある日、日本語を教えている中国人の小学生の両親から食事のお誘いを受けた。その店は満州族料理の店だった。私が豆腐が好きなことを知っていて「小桶豆腐」と言う料理を注文してくれた。「小桶豆腐」は桶に入った、くみあげ豆腐で絹こしより口当たりがなめらかだ。出来たての熱々の豆腐に椎茸を煮詰めた濃い目タレとえのきだけを煮た薄目のタレの2種類があり、お好みのタレで食べる。一口食べて、こんな美味い豆腐があるのなら、自分で作る必要はなくなった、次回はおろし生姜とめんつゆで食べてみたいと思った。

  翌日すぐにGさんにその豆腐が美味かったことを話し、2日後に、青ジソドレッシング、ポン酢を持参してその店に行った。しかし、この日の豆腐は出来が悪く、豆腐から水が分離してしまい、食感も悪かった。翌日、一人で行った時は出来は良かったが、一人で食う豆腐は味気なかった。

 そして後日、数人の友人を誘い豆腐を食べに行った。この時はHさんが、おろし生姜、ポン酢、めんつゆ、けずりかつお、きざみ葱などタレと薬味を各種準備して、初めて食べる友人から絶賛を浴びた。その後も、何度か食べに行ったので、すっかり服務員、女店主にも顔を覚えてもらえた。

ある事件が、5回目に行った時に起こりました。 詳しくは又、アップしますので、お楽しみに。